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核融合入門書のご案内(広報サブクラスター)

物理学と核融合

著者は日本原子力研究開発機構において長年にわたり核融合研究に携わってきており、IAEA核融合エネルギー会議議長を務めるなど、核融合研究を代表する第一線の研究者である。まえがきにも書かれているとおり、本書は一般向けというよりも物理教育を受けた大学生・大学院生を意識して記述されている。ただ、第1章、第2章は核融合についての導入部であり、物理に関してそれほど深い知識がなくとも読むことができる。特に第2章は、水素、重水素、三重水素、中性子、ヘリウムといった原子核の観点から核融合反応理論を取り纏めており、原子核物理との関連性がわかる。第3章から第9章は、著者が専門としている、閉じ込め磁場のトポロジー、粒子運動論、MHD安定性、波動、輸送、乱流についての詳細な記述がなされており、噛み応え十分。核融合・プラズマ物理が如何に他の数学・物理学分野と関連しつつ進展してきたかを知ることができる。プラズマ物理研究を志す大学生・大学院生に精読を期待する。また、核融合研究者にとっては物理学分野での自分の立ち位置を確認する上で有益だろう。第10章は著者が関わってきたITER、幅広いアプローチ計画を中心として、核融合炉の実現に向けた研究の現状と進展をわかりやすく記述している。
著者割引あり。 (京都大学 長崎 百伸)

  • ■題名:物理学と核融合
  • ■著者:菊池 満
  • ■出版社:京都大学学術出版会
  • ■価格:3360円
  • ■出版年:2009年出版
  • ■難易度:一般大学生 やや専門的

プラズマエネルギーのすべて

前半1/3はさまざまな形で存在するプラズマについて,後半2/3は核融合のためのプラズマ,エネルギー問題について記されている。題名の「プラズマエネルギーのすべて」にあるように,すべてを網羅しようという姿勢が見られる。したがって,最初から通して読むよりも,気になったトピックがある時,あるいは調べてものをしている時,目次から項目を拾い出して読むのがよい。各項目とも2ページ程度で説明が完結しており,豊富な図解,きれいな写真で丁寧に解説されているので,直観的で速い理解が可能である。A5版の価格としては若干高めであるが,小型カラー百科事典を買ったと思えば,かなりお得な感じがする。執筆者は多く,学会関係者が主であるが,全体的にソフトなトーンで統一されており,事典のような堅さがないのも好感を受ける。(東京大学 江尻晶)

  • ■題名:プラズマエネルギーのすべて
  • ■著者:プラズマ・核融合学会編
  • ■出版社:日本実業出版社
  • ■価格:2000円
  • ■出版年:2007年出版
  • ■難易度:大学生 社会人 やさしい

トコトンやさしい核融合エネルギーの本

エネルギー源としての核融合を紹介する解説書である。最近、メディアに登場する機会が増えているITERについて理解するのに大きな助けとなる。 ITERはトカマク装置であるが、トカマク装置とは何か?太陽とITERでの核融合反応はどこが違うのか?核融合とは何か?核融合炉に高温のプラズマが何故必要なのか?核融合炉と核分裂炉はどこが違うのか? 核融合炉ではどうやってエネルギーをとり出すのか?核融合炉の開発で何が問題なのか?など、私たちが普段疑問に思っている核融合エネルギーについて平易な文と絵で答えてくれている。 プラズマの基礎から炉工学、ITER計画、発電のための核融合炉まで、幅広い項目を本書一冊に網羅されているのは有り難い。日本が世界の核融合研究開発とITER計画を主導してきたことが良く理解できる。 専門用語が多く出てくるのはこの種の本の宿命であるが、丁寧な説明がなされており、専門外の人にも読みやすい。 詳細な索引がついているので、辞書として使うこともでき、新聞等の報道でもう少し詳しく調べる時に便利である。高校生、大学生が進路を決めようと思う時に、 または、核融合を知りたい時に最初に読んでみるのも良いだろう。著者は、日本の核融合研究を牽引してきた科学者の一人である井上東京大学名誉教授と 日本の大型トカマク装置JT-60の建設と実験を経てITER計画に携わっている芳野博士だけに、核融合について知り尽くしている。
(量子科学技術研究開発機構 春日井敦)

本書評を書いたあとで、井上先生の訃報に接した。ご冥福をお祈りしたい。)

  • ■題名:トコトンやさしい核融合エネルギーの本
  • ■著者:井上信幸,芳野隆治
  • ■出版社:日刊工業新聞社
  • ■価格:1400円
  • ■出版年:2005年出版
  • ■難易度:一般 社会人 大学生 高校生 やさしい

トコトンやさしいプラズマの本

この本はプラズマの本であるが,全体の3割程度が核融合についての解説である。核融合がプラズマの代表的な応用例であるが,この本では,日常のさまざまな場面で用いられるプラズマを豊富なイラストでわかりやすく解説しようとしたものである。プラズマ応用の裾野の広さに感心するとともに,著者の知識の広さに脱帽する。この本は手っ取り早く,プラズマや核融合の知識を身につけようとする社会人に勧める。ただし,難しい内容も含んでいるので,細かい点にはこだわらず,一気に読むのが良いであろう。(東京大学 江尻晶)

  • ■題名:トコトンやさしいプラズマの本
  • ■著者:山崎耕造
  • ■出版社:日刊工業新聞
  • ■価格:1400円
  • ■出版年:2004年出版
  • ■難易度:社会人 やさしい

核融合エネルギー入門

この本は、慣性閉じ込め方式と磁気閉じ込め方式の核融合炉から生み出されるエネルギーについて、 可能性と課題、研究の将来について解説したものである。著者はフランスの核融合計画の責任者だった人であり、 核融合エネルギー戦略については、ヨーロッパのエネルギー枯渇論に基づいて展開している。本書は材料の放射化、 トリチウム燃料、解体・廃棄物処理等の安全性に関すること、核融合エネルギーのコスト、炉材料開発の必要性等、 プラズマ核融合に関する他の書籍では避けて通りがちな話題にも解説を加えている点で新鮮さを感じる。 核融合エネルギーについて概観するには適した1冊であると言える。(日本原子力研究所 春日井敦)

  • ■題名:核融合エネルギー入門
  • ■著者:ジョゼフ・ウ゛ァイス(本多力 訳)
  • ■出版社:白水社(文庫クセジュ)
  • ■価格:951円
  • ■出版年:2004年出版
  • ■難易度:社会人 やさしい

新核融合への挑戦

この本は核融合研究の大御所である吉川庄一先生が1974年に出版された同シリーズ「核融合への挑戦」の大改訂版となる本であるが,さすがに四半世紀の経過は,核融合研究の内外を一変させた。。。と感じるのはやや年輩の世代であろう。もう一人の著者である狐崎晶雄先生は,日本のトカマク研究の草分けである。その意味で敷居が高そうに見えるが,核融合を実によくかみ砕いてわかりやすく説明している。もっとも,式が全く使わないで説明されていて,高校生には物足りないかもしれない。内容は,プラズマから始まり,核融合発電までを順序だてて説明しており,ところどころに,エピソードや比喩が織り込まれている。日本人が日本人のために書いたためか,この分野で,いかに日本が活躍してきたかを改めて感じさせ,日本人のプライドをくすぐる点も見逃せない。(東京大学 江尻晶)

  • ■題名:新核融合への挑戦
  • ■著者:吉川庄一,狐崎晶雄
  • ■出版社:講談社ブルーバックス
  • ■価格:900円
  • ■出版年:2003年出版
  • ■難易度:中学 高校生 大学生 やさしい

核融合エネルギーのはなし

どちらかというと工学の視点から核融合を解説した本であり,核融合炉開発を概観するための知識をコンパクトにまとめている。冒頭で核融合開発の必要性を説明している。すなわち,海水中のLiで制限されるエネルギー量として,1600万年分が期待されると述べられており,長い時間スケールでの人類というものを意識させてくれる。その後,核融合の基礎,閉じこめ方式,核融合炉のための技術という順に解説があり,炉を成立させるために多種多様な技術要素があることがわかる。また,それぞれの技術要素には,明確な役割と性能目標があり,それらの有機的な統合の必要性が説かれている。核融合には基礎科学とは異なる側面があることを認識させてくれる。(東京大学 江尻晶)

  • ■題名:核融合エネルギーのはなし
  • ■著者:近藤育朗,栗原研一,宮健三
  • ■出版社:日刊工業新聞社Scinece and Technology
  • ■価格:1700円
  • ■出版年:1996年出版
  • ■難易度:大学生 やさしい

核融合の40年 ー日本が進めた巨大科学ー

本書はITER計画が立ち上がるまでの日本の核融合研究開発計画の政策決定過程を忠実に描いた記録である。特に核融合研究開発の黎明期から発展期 (1960代、1970年代)について膨大な過去の資料を基に、実際の委員会や実名を挙げて詳しく記述されており、これまでの日本の核融合研究開発にお いてどのような委員会でどのような決定がなされ、そしてどのように進められてきたのかが理解できる。またこれまでの核融合と政界、財界との関わりも言及 されており、核融合開発は学術的な面だけで現在の発展を遂げたわけではなく、政治家や経済人の強力なサポートとリーダーシップがあってこそ発展してきた ことを実感させられる。日本の核融合研究開発やITERの今後が注目される今こそ、歴史に学ぶべきと考えさせられる1冊でもある。(日本原子力研究所 春日井敦)

  • ■題名:核融合の40年 ー日本が進めた巨大科学ー
  • ■著者:山本賢三
  • ■出版社:ERC出版
  • ■価格:2200円
  • ■出版年:1997年出版
  • ■難易度:一般 やさしい

核融合の政治史

著者はニューヨーク・タイムズの女性記者で、5年間にわたる世界各国の 核融合研究者、技術者、政府関係者などへのインタビューを通して、半世紀に 及ぶ核融合研究の歴史を振り返った力作である。とりわけ第一線で活躍してきた 研究者達の研究現場における一喜一憂と、国家間競争をめぐる政治との関わりが リアルに描写されていてたいへんおもしろい。人類にとって究極のエネルギーと 言われる核融合エネルギーの開発研究は、単に人類の夢というだけでなく、 成功すれば国家的な利益も絡んでくるため常に政治と関わらざるを得ない。原著題名は「FUSION-The Search for Endless Energy」であるが、訳書を政治史としたことはこの書の内容からいって当を得ている。原著は1990年に書き上げられており、核融合研究が国家間競争から国際協力をめざす国際熱核融合実験炉(ITER)計画が遡上に載りつつある時期で終わっている。著者はこの書を通して未だ核融合エネルギーの実用化を達成できないでいる核融合界への自己批判を求めるとともに、究極のエネルギーと自覚しているならば、ライト兄弟のごとくまず飛び立つ勇気を持てと励ましてもいる。研究者にとっては社会の目の厳しさ を実感させる書でもある。(核融合科学研究所 井口春和)

  • ■題名:核融合の政治史
  • ■著者:ロビン・ハーマン (訳者:見角鋭二)
  • ■出版社:朝日新聞社
  • ■価格:2,600円
  • ■出版年:1990年出版
  • ■難易度:一般 やさしい